国際的な次世代加速器開発の推進や政府間の国際協議に向けた環境の醸成について、研究者コミュニティによる取組が着実に進められてきていることから、日本の研究者コミュニティの代表であるILCジャパンの石野 雅也 代表を講師として、9/26にILC講演会を開催しました。当日は、会場聴講・オンライン視聴と併せて130名の方にご参加をいただきました。
はじめに、当協議会の冨永 共同代表から開会挨拶を行い、続いて、石野 氏から「ILCの学術的意義と実現に向けた現状と課題」と題して、講演をいただきました。
石野氏からは、素粒子物理学の目標である宇宙の始まりについて、先端加速器を使ったヒッグス粒子の精密測定やヒッグス場の研究を行うことが新しい物理の扉を開くものとして、ヒッグスファクトリーの重要性は世界中に認識されており、ILC以外にもFCC(欧州)やCEPC(中国)といった加速器建設の提案があること、また、グローバルプロジェクトとして、パートナー国と責任や費用分担のルール、推進組織の形や建設サイトの決定方法などのルールを決め、続いて、具体的なILCの形について議論し決定していくという段取り(ステップ)についての説明がありました。
また、質疑応答では、日本の研究者について、日本がホストする場合のプロジェクトの中心的役割を果たすためのノウハウや日本へ誘致することの意義について質問があり、石野氏からは、 CERNの国際プロジェクト等で多くの日本の研究者が活躍していることをふまえ、自分達で創った舞台に世界中からの研究者を迎え入れることは、(他国の舞台での活躍とはまた違ったチャレンジングな取組ではあるが)できる準備が整ってきており、一番生産的な時期の若者がプロジェクトに数千人集まって来るような場を創ることは、サイエンスの進歩や頭脳の循環など様々な面で意義のあること、との回答がありました。